IT ライブラリー − 注目の「ITニュース」(2019.05)
著作権法改正法案 見送り!
−クールジャパン戦略推進のためのフェアユースの再考!!
□ この度、文化庁は違法ダウンロードの全面禁止を盛り込んだ著作権法改正案を策定しましたが(2019年2月)、今国会での法案提出が見送りとなりました。
□ 改正案の内容 本改正案は、文化審議会著作権分科会の下の小委員会が3カ月間でとりまとめた報告書をベースにしているものです。メモとしてスマートフォン画面を撮影した静止画(:スクリーンショット)も、侵害コンテンツが写っていれば違法になるとするもので、憲法で保障された通信の秘密(第21条第2項後段)を侵害するおそれがあり、海賊版の被害者である漫画家団体も反対していました。
□ 背 景 著作権法は「著作物の公正な利用に留意しつつ、著作権の保護を図り、文化の発展に寄与することを目的としている」(第1条)と規定しています。しかし、所管官庁である文化庁は保護に軸足を置いています。これは、「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)締結に伴う関係法律の整備に関する法律」による権利強化(2018年12月30日成立施行)が存在するからです。
□ イノベーションの創出を促進するため、AIやIoTなどの情報通信技術の進展に伴い、将来、新たな著作物の利用方法が生まれた場合にも柔軟に対応できるように規定を整備する必要があります。
ところが、我が国の著作権法は権利侵害と権利制限の二分法を採用し、個別制限規定がない行為は全て侵害行為とされています。即ち、企業、国民の全てが、原則として侵害者と予定されているものです。
英米法系諸国では、フェアユース規定(:利用目的が公正であれば、著作者の許可がなくても著作物を利用できる条項)を設けたことにより、これが、GAFAを初めとした新しい産業の創出に貢献し、「ベンチャー企業の資本金」と言われています。
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