LEGAL ライブラリー − 注目の「ITニュース」(2023.06)

ChatGPT

−3. 活用事例と官公庁のトピック

□ ChatGPTをめぐっては、開発した米新興企業オープンAIのサミュエル・アルトマン(Samuel H. Altman)氏が、同年同月10日に岸田文雄首相と面会し、日本での事務所開設を検討していることを表明しています。西村経済産業相は「高精度な言語AIツールは、さらなる性能向上によって言葉を使う仕事などを抜本的に変える可能性がある」とし、「日本がAI分野でどのような戦略で取り組んでいくべきか、早急に詰めていきたい」と述べ、また、「懸念が解消された場合には、国会答弁の作成などで活用を検討する」との考えを示し、G7でのルール作りについても言及しています。
 近時、世界中で話題になっている「Chat GPT」について、前回に続き解説します。

□ ChatGPTの活用事例
我が国でも、既に多くの企業がChatGPTを活用し、また、サービスを展開しています。次のとおりです。
(1)非上場企業の事業内容の要約:上場企業の場合は詳細な企業情報が公開されますが、それに比べて非上場の場合、投資判断や融資審査の材料となる有益な情報を取得するのは簡単ではありません。国内約100万社の非上場企業情報の収集要約が行われています(QFINDR)。
(2)マニュアル自動作成:ブラウザ上でソフトなどの操作を一度行うだけで、そのプロセスを自動でマニュアル化した上でシェアすることができます。マニュアルのタイトルや説明文も自動生成しています(Orange Moon)。
(3)採用リファレンスチェックを効率化:中途採用の応募者や内定候補者の前職での勤務態度や評価について関係者にヒアリングするための質問項目を自動生成しています。膨大なリファレンスチェック結果に目を通し、必要な情報をピックアップしてまとめるといった作業も可能となっています(Parame)。
(4)広告クリエイティブの自動生成:画像やテキスト、音声といった多彩なコンテンツを自動生成することができます(Omneky)。
(5)動画コンテンツの要約文の自動生成と記事化:動画コンテンツの要約文を自動生成し記事化し、要約文章から元動画を見たい場合でも、記事内のリンクから動画へ遷移し閲覧が可能(Gunosy)。
(6)社内ドキュメント検索サービス:特定の情報ソースを追加、指定や絞り込みにより確度の高い回答の提示し、企業内で利用する社内ドキュメントを対象として検索可能(Allganize Japan)。
(7)高度な受け答え:企業のFAQを組み込むことでLINEの公式アカウントとWebサイトで利用する機能を追加し、あたかも人が話すかのごとく高度かつ自然な言語でのやり取りが可能(anybot)。
(8)土日深夜帯のインサイドセールス自動化の実現:就職領域、リフォーム領域、カードローン領域、エネルギー領域で、土日、深夜帯の問い合わせに自動対応することが可能(ポート)。
(9)SaaS連携データベースからテキスト生成や抽出、要約:@受信メールから企業名や名前、メールアドレスを抽出しデータベースに自動で格納、Aユーザーからの口コミリストをもとにネガティブかポジティブかを判断し自動でラベリング商品リストに対する商品説明文の自動作成、B会議の議事録の要約、チャットツールなどへの送信の自動化、Cアプリケーションから情報を取得し、データベースへの格納やラベリング、文章の要約・作成といったことが自動で可能(Yoom)。

□ □官公庁のトピック
 ChatGPT活用に向けて、以下に、官公庁のトピックをご紹介します。
(1)農林水産省:補助金申請マニュアルなどの改訂や修正に活用
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230418/k10014042001000.html
(2)文部科学省:学識経験者や現場教員に対し、書面でのヒアリングを開始。今後、ガイドライン作成を進め、速やかに公表を目指す。
https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00367.html
(3)デジタル庁:必要なセキュリティ要件を満たすことができないことから、政府の「要機密情報」については、原則、取り扱うことはできないが、「要機密情報」を扱わない場合でも、リスクを考慮したうえで利用できるかどうかを検討し、利用状況を管理していくとしています。
https://www.digital.go.jp/councils/social-promotion-executive/councils/191f444c-37fe-4c38-9909-09d9ccdb23af/
(4)東京都:都の業務での導入に向けて、都デジタルサービス局内にプロジェクトチームを立ち上げ、利用上のルールなどを検討していく、としています。
https://www.asahi.com/articles/ASR4Q6KR6R4POXIE01D.html

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