LEGAL ライブラリー − 注目の「ITニュース」(2025.03)
生成AIの影響
−1.Deep Seek
□ 生成AIの登場は、ビジネスや社会に大きな影響を与えます。また、情報格差が増々拡大し、知らないうちに、AIに使われる人と、それを使いこなし革命的な進化を遂げる人に二分化されます。スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した「IMD世界デジタル競争力ランキング2024」で、日本は67カ国中31位となっており、ITリテラシーの欠如によるDX化の遅れが国家的課題となっています。
そこで、回を分けて、特に生成AIを中心に、ITがもたらす、「経済効果」、「労働市場」、「社会的課題」、「知的財産権侵害」、「データプライバシーの懸念」、「セキュリティの脆弱性」等について、解説します。
第1回目の今回は、今、世界的に話題となっている、「Deep Seek(ディープシーク)」を取り上げます。
□ DeepSeekとは
DeepSeekは、中国のAIスタートアップ企業が開発した大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)(下記※)です。ChatGPTやGoogleのGeminiと並ぶ性能を備え、オープンソースとして公開されています。
□ 開発者
DeepSeekは、2023年に中国・浙江省杭州市で設立されました?。中国のヘッジファンド「幻方量化(英語版、中国語版)」による資金提供を主に受けており、両者とも浙江省杭州市を拠点とする梁文鋒氏によって設立・運営されています。AIを活用した投資会社を複数立ち上げており、新興技術と投資を組み合わせたビジネスに精通している人物です。
□ 主な特徴
(1)自然言語処理(NLP)技術を活用し、文章の生成や翻訳、要約、コードの生成などを行う。
(2)中国語の処理能力に優れており、中国語圏向けのAIとして高い精度を持つっている。
(3)開発や運用コストを大幅に削減している。
(4)オープンソースとして公開されており、開発者がモデルをカスタマイズして利用しやすい。
(5)ブラウザ版とスマートフォンアプリが提供されており、日本語でも利用できる。
□ 問題点
中国企業DeepSeekが開発したAI(人工知能)を使ったチャットボットについて、オーストラリアのエド・ヒュージック科学相は、西側政府の閣僚として、初めて、プライバシーに関して懸念を表明しました。問題点は次のとおりです。
(1)回答が中国共産党の公式見解になるよう調整されていること。
(2)他社のAIの回答を盗む蒸留と呼ばれている学習が行われていること。
(3)中国に輸出が規制されているAI開発用グラフィックボードが学習に使用されている可能性が高いこと。
(4)データ流出の可能性があること。
※LLM(Large Language Models)とは、人工知能の一種で、自然言語処理技術を活用したモデルです。ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる機械学習技術によって、大量のテキストデータを学習します?。文章の理解や作成、情報検索、機械翻訳、仮想アシスタントなどの分野で活用されています。
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