各士業の業務内容

特許事務所(弁理士)の仕事と報酬

弁理士とは

◆ 弁理士とは、「弁理士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、工業所有権の適正な保護及び利用の促進等に寄与し、もって経済及び産業の発展に資することを目的とする(弁理士法第1条)」として弁理士法が定められ、その下に「弁理士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない(同法第3条)」と規定されています。弁理士は、発明を強い権利に育て上げるための良きパートナーであり、毎日のように登場する多くの新製品を「特許」によって保護し、模倣品の出現や横行を防ぐ業務を行います。弁理士は、日本国のみならず世界を舞台に活躍する産業財産権制度(工業所有権)−特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の総称−のエキスパートです。また、産業財産権以外の知的財産権、例えば著作権(絵画、音楽、コンピュータプログラム)や半導体集積回路配置など、産業財産権に隣接する法域で認められる権利に関しても適切なアドバイスを行います。

◆ 産業財産権の取得や産業財産権の紛争解決について、自身で対処することが可能です。しかし、産業財産権の取得や産業財産権の紛争解決には、高度な技術的、法律的、実務的知識を必要とします。弁理士は、権利者が不測の不利益を被ることのないように、産業財産権の取得や産業財産権の紛争解決をスムーズに行うために認められた唯一の国家資格者です。
 なお、特別な理由もなく弁理士以外の人が手続の代理を行うことは、法律(弁理士法第75条)によって禁じられています。

弁理士の業務

◆ 弁理士は、他人の求めに応じ、産業財産権、または国際出願、もしくは国際登録出願に関する特許庁における手続、及び、産業財産権に関する異議申立て、または裁定に関する経済産業大臣に対する手続についての代理、並びにこれらの手続に係る事項に関する鑑定その他の事務を行います(同法第4条)。
 これらの権利は、特許庁へ出願し審査を経て、はじめて登録されるものです。この手続は、発明者が自分で行うこともできますが、手続が複雑であり、弁理士に依頼すると権利取得までの手続を代理してくれます。また、特許戦略や研究開発についての助言を行ってくれます。

1.国内における産業財産権(工業所有権)の取得および対応
(1)特許権・実用新案権の取得  特許権は、技術に関する創作のうち高度な発明を保護対象とするのに対し、実用新案権は、特許権と異なり、技術に関する創作である考案を広く保護対象として、実質的に無審査で取得できる権利です。特に、実用新案権は発明ほど高度でない小発明で、しかも、ライフサイクルの短い技術に関し有効なもので早期に権利化することができます。
(2)意匠権の取得  意匠権とは、物品の新しいデザインに関する権利です。
(3)商標権の取得  商標権とは商品やサービスの名称に関する権利です。
(4)拒絶理由通知に対する手続
(5)特許・登録異議の申立
(6)その他、特許権、実用新案権、意匠権、商標権又はそれらの実施権についての登録、移転、変更の手続
(7)審判の請求
(8)訴 訟
(9)鑑定・判定・技術評価請求
(10)仲裁(和解の手続を含む)
(11)輸入差止め
(12)契約の締結等  平成14年2月1日弁理士法第4条3項が施行されました。特許権、実用新案権、意匠権、商標権、回路配置利用権、著作権、著作隣接権、不正競争防止法第2条1項に規定する不正競争で、同項第1号から第9号に掲げるもの(同項第4号から第9号に掲げるものにあたっては、技術上の秘密に関するものに限る)に関する契約の締結を行い、媒介や相談に応じます。なお、このような新規業務に関して日本弁理士会では全会員(弁理士)を対象とした研修を義務付けています。

2.外国における産業財産権の取得及び対応
・ 外国で発明や商標について権利を取得する場合の手続代行
※ 産業財産権は、各国の法律によって国ごとに成立しています。従って、日本で取得した権利は外国には及びません。外国で製品を製造・販売し、商標を使用するためには、各国で定められた産業財産権への対応が必要です。
 なお、産業財産権の国際的保護を容易にするため、世界130ヶ国以上が「パリ条約」を、また、発明に関しては、90ヶ国以上が「特許協力条約」を、さらに商標に関しては、40ヶ国以上が「マドリッド協定議定書」を結んでいます。

3.その他   産業財産権以外の知的財産権−著作権(絵画、音楽、コンピュータプログラム)や半導体集積回路配置等−は産業財産権に隣接する法域で認められるものです。これらに関しても相談に乗ってくれます。

費 用

◆ 弁理士報酬額表は、平成13年1月6日の新弁理士法の施行をもって廃止されました。現在、弁理士の報酬は、すべて依頼者と弁理士との合意によって決定します。弁理士に業務を依頼する際には、依頼内容と報酬について、十分に説明を受けて下さい。

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